仕上げの光沢について

光沢を測定するには、床表面に一定の角度で一定の強さの光線を照射し、同じ角度で反射された光の量を測定します。この反射光の測定には一般には光沢計と呼ばれる「光沢度計」を使います。光沢は、この光沢計の数値によって定義されていますので、まずは光沢計について説明します。

床の光沢は、一般的に60°で測定したときの値で表されます。JIS規格では、ガラス表面(可視波長全域にわたって屈折率が1.567)を、光沢度100(%)と規定しています。しかし、ガラス表面は湿気などによって侵されやすいため、実際は屈折率1.500付近(光沢度90%)を実際の基準面として使用します。

つやあり=高光沢

一般的に、光沢値80〜90をつやあり(全つや)と呼び、測定面にくっきりとした像が映ります。これは、入射光が鏡面反射角度で反射しているためです。人間の目にはピカピカに見えます。

つや消し=低光沢

つやがない面に映る像は、薄くぼんやりします。これは、入射光は鏡面反射角度で反射しているものの、同時に散乱している光もあるためです。

弊社では、光沢を以下のように定義しています。

スクロールできます
名称光沢値光沢
グロス80~90全つや
シルクマット40~50半つや
マット20~30つや消し
exマット10~15全つや消し
ウルトラマット(ナチュラル)6~8ナチュラル

光沢のある床=高級な床と捉えられる時代もありましたが、全つやの床材は現在、ほとんど市場には流通していません。木の自然な風合いを損ね、冷たい印象、古臭い印象を与えるためでしょうか。床材のほとんどはつや消しです。全つやのトップコートは、現在スポーツフロア以外ではほとんど使用されなくなりました。

近年では、光沢のないものほど好まれる傾向にあり、60°の測定では、お客様のリクエストに正確に応えられなくなってきました。60°での光沢値が10しかないのに、85°で測定すると光沢値が25あったというようなことが起こるのです。60°の測定では正確なつや消し度合いを測定できないため、下の図のようにexマットやウルトラマットの仕上げは、85°で測定します。特にウルトラマットは、60°で測定しても85°で測定しても、ほとんど光沢値がかわりません。これは、どの角度から、どの距離から見ても同じ光沢で、まったく光沢がないことを意味します。

グロス
ウルトラマット

昔から塗装の基本として、色合いの濃いものにはつやを上げる、ホワイトのように色合いの薄いものにはつやを下げる、と言われてきました。各光沢の違いによって同じ床材、同じクリア塗装であっても、床材や部屋の印象はガラリと変わります。

グロス
シルクマット
マット
exマット
ウルトラマット(ナチュラル)

光沢が上がるとブラウン系の色合いがより強調されますので、ブラウンやブラックの床にはシルクマットを、ホワイトやグレーの床には、マットやExマット、ナチュラルで仕上げると、よりキレイに見えます。

光沢が上がると冷たく硬い印象を持ち、光沢が下がると温かみや柔らかさを感じると言われます。トップコートの硬さは、光沢によって硬くなったり柔らかくなったりしませんし、塗膜の耐久性は変わりませんので、ご自身の好みで選択されるとよいと思います。

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